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HMIとタッチパネル 真空濃縮缶制御 グラフィック画面 計器グループ画面 チューニング画面
タッチパネルスタンド


HMIとタッチパネル


タッチパネル(以下TP)はHMI(Human Machine Interface)の中心として発達してきました。機能も充実し、画面展開速度、PLCとの通信速度などの進歩によりHMIの手段として用いるにはほとんど問題はないぐらいになったと思います。

しかしながらロギング、ヒストリカルトレンド、帳票となるとコンパクトフラッシュ(以下CF)を利用した限定的なものになり、データ解析などはCFを別のパソコンに移してCSVファイル読み込みによる操作となり、一連の流れの中でというわけにはいかないのが現状です。
それでもSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition System)まで進まなくてもタッチパネル(以下TP)で十分なシステムも多々有ります。
ここではPLC計装を隔膜式真空濃縮機に適用した場合の例をご紹介致します。

デスクにタッチパネルを置くときに、ケースに入れたり架台を作ったりしますが、ヘアライン仕上げのアルミケースにVESA規格のモニタスタンドを組み合わせてみました。ちょっと格好が良いのでご紹介します。




真空濃縮缶制御

三菱電機製MELSEC-Qシリーズを使用して、隔膜式真空濃縮缶(エバポレータ)を選びループ制御を構築してみました。
そのHMIとしてタッチパネル(以下TP)を使用して構築してみました。グループ表示画面、チューニング画面トレンド画面、警報画面、警報履歴画面などで構成されています。
詳細は各項目でご紹介しますがPID設定、PV警報、偏差警報、MV値設定、SV値設定など基本的な操作は全てTP画面上で可能となっています。タッチパネルを使用した例です。

真空濃縮缶は蒸気をエゼクタを通して供給し、濃縮対象液は真空の中を移動しながら蒸気の熱を隔膜で受け濃縮されていきます。
最終的な制御目標は出口濃度であり、その目標に大きく直接関係する制御対象は蒸気量、原液供給量の2点だけです。実際には真空度、蒸発室液面などが別途制御対象となり、各部の温度などが管理対象となります。

出口濃度制御の基本は真空濃縮缶のもつ能力=蒸発量という数値になります。ここでは最も効率の良い蒸発量を一定にするように原液流量を変更し、出口濃度を制御する方法を選んで見ました。

具体的には供給蒸気量からエゼクタ能力など固有の常数を用いて蒸発量を計算します。この蒸発量と目標出口濃度、原液測定濃度から原液流量を算出します(フィードフォワード制御)。しかしながら外乱があるとフィードフォワード制御のみでは目標とする出口濃度に偏差が出るため、出口濃度調節計を用いて原液流量を補正しています(フィードバック制御)。
制御的には単なるPID制御でなく、ループ演算処理あり、カスケード制御あり、フィードフォワード制御あり、フィードバック補正ありと面白いものです。

ここでご紹介させて頂いているのはループ制御のみですが、当然シーケンス制御もあります。真空濃縮缶の場合は運転開始時や終了時のバッチ処理が主なシーケンス制御になります。

以下に色々な画面をご紹介しますが、その中の数値は全て架空のものです。画面のイメージとしては少し色を抑えた落ち着いたものにしてみました。SVGA(800×600)をVGA(640×480)に縮小していますので、少し見にくいかもしれませんが。


ここではPLC計装を隔膜式真空濃縮機に適用し、タッチパネルをHMIとして使用した場合の例を載せてましたが、実際の運用では色々と改造していますので、参考程度に読んでみてください。



グラフィック画面

プラント全体を解りやすく管理するものとしてグラフィックは欠かせません。

簡単なフロー図に各PV値(測定値)を表示し、動力機器や自動弁は動作表示をしています。
調節計TAGの傍にあるは自動運転中、はカスケード運転中、は手動運転中を示します。安全確認のため、
は赤字では緑字で表示されます。
自動弁の操作状態表示も同じで、が表示されます。

この他にを表示せず点滅などで示す方法や、Aを表示せずのみ表示する方法などもあります。





例えばFIC-001のタグ部分にタッチすると下図のように計器画面がウインド表示されます。更に計器タグ部分にタッチするとそのループのチューニング画面に移行します。





左の供給槽補給弁にタッチすると下図のように自動弁操作画面がウインド表示されます。ここで自動−手動の選択と手動時の開閉選択が可能です。弊社標準回路で自動から手動に切り替えたときは安全のため自動時の開閉状態を保持します。その後人の判断に開閉操作をします。手動から自動に切り替えたときは、即自動状態に対応します。





この様な画面は一見管理しやすいようですが、実際は個々の数値の管理範囲や目標値が解りにくいと云う欠点があります。やはり数値管理は次項のグループ表示などの方が理解しやすいようです。
尚、表示されているPV値を警報により赤色表示に変えるなどで、より状態を分かり易く伝える方法もあります。






計器グループ画面

濃度調節に関係するループをグループとしてまとめた画面です。調節計3台、1点指示計2台、2点指示計1台の構成になっています。

調節計、指示計などのフェースプレートはTPの場合は自由に作れます。それでも当然基本形は出来ていますが、TPの場合はDCSの様なTAG管理でないので、PV値を表示させるアドレスやそのデータ形式など、どうしても各ループ毎に細かい修正をする必要が出てきます。
基本形が出来ているのでそれほどの労力ではありませんが、EXCELなどでデータの流れをきちんと整理しておくのが間違いを無くす第一歩と思います。






調節計の下部制御モード表示部にタッチするとMANUAL-AUTO-CASCADEの選択ウインドが開きます。
カスケードが設定されていないループはMANUAL-AUTOの選択ウインドが開きます。





選択された制御モードが調節計下部モード表示部分に表示されます。
ここの例ではFIC-002とBXIC-002がAUTO、FIC-001がCASCADEです。

AUTOを選択中にSV値にタッチすると、SV値設定用10KEYウインドが開き、直接数値入力により設定値を変更することが出来ます。






同様にMANUALを選択中にMV値にタッチすると、MV値設定用10KEYウインドが開き、直接数値入力により操作量を変更することが出来ます。








チューニング画面

左部分にPV ALARM(測定値警報)、DV ALARM(偏差警報)、CONSTANT(常数)の設定及び状態表示があります。ここの例ではPV ALARMのAL4とAL5が検知されています。
PV ALARM設定でスケール範囲外(ここの例ではAL1とAL6)は未使用となります。この様に設定値で使用/未使用を決める方法の他に、例えばAL1にタッチして使用/未使用を決める方法などもあります。
DV ALARMも同様にマイナス設定(ここの例ではAL2)は未使用となります。DV ALARMは偏差%設定でなく工業単位設定としています。
CONSTANTはK1〜K3という表示になっていますが、内容を明記することも当然可能です。(今回、フィードフォワード制御がありその演算のために常数設定を設けましたが、その後の実運用では削除し、別の画面で設定するように変更しました)

上段にAUTO時に使用できるLOCAL SV、MAMUAL時に使用できるMANUAL MV及びPID設定値が表示されます。これらは設定するとき以外は現在の値が表示されます。従ってLOCAL SVはCASCADE時はカスケードされた設定値が、MANUAL MVはAUTO時は調節計出力MV値が表示されています。
実際の運用ではわざわざこれらを別置きにする必要も無いと云うことで、調節計のSV表示、MV表示と兼用しています。

中下段はSV(設定値)、PV、MV(操作量)のリアルタイムトレンドグラフです。PID設定変更時などの動作確認に便利です。なお、ここでは載せておりませんがもっと時間軸の長い各PV値のみのトレンドグラフ画面もあります。

右側は調節計のイメージで、SV、PV、MVがデジタル表示とグラフ表示されます。下部のCASCADE表示はこの調節計がカスケード状態であることを示しています。






PV ALARMDV ALARMCONSTANTの部分にタッチすると10KEYウインドが開き、数値を設定することが出来ます。

技術的なことですが弊社の場合、PV ALARMDV ALARM検出はシーケンス制御側(三菱電機PLCソフトGX Developer、以下GX)で行っています。ループ制御側(三菱電機PLCソフトPX Developer、以下PX)でも当然作れます。ただ、設定がTP(GX側)ですのでその設定値をPXに送り、PXで同じブロックを並べて検出し、再度GX側に転送するよりもGXでインデックス修飾を使用したり、FB(ファンクションブロック)を使用したりて ソフトを簡略化し検出した方が簡単だからです。この辺は意見の分かれるところかもしれません。

調節計がAUTO時はLOCAL SVにタッチするとSV設定矢印キーウインドが開きます。
大きく数値を上下するときは上下二つの矢印を、小さく数値を上下させるときは中二つの矢印を使用します。数値は上段に示され、その数値をSVとして設定するときは書込、止めてウインドを閉じるときは閉じる、矢印キーでなく10KEYで設定したいときは10KEYにタッチすると、次の10KEYウインドが開きます。
矢印キーはワンタッチすれば10または1ずつ、連続タッチすれば連続して10または1ずつ上昇、下降します。

設定変更値のスタートは現在のSV値ですから、大きく間違えて設定してしまうことはありません。
その後の実運用で矢印キーによる増減はあまり使い勝手が良くなく、10KEYウインドウのみに変更しました。






調節計がAUTO時に10KEYウインドを使用して、直接SV値を設定する画面です。
この場合設定変更値のスタートは現在のSV値ですが、10KEYでどの様な数値でも設定出来ますので大きく間違えて設定しないよう注意が必要です。これを防止するために10KEYウインドウに設定数値を表示し、確認ご再度転送する方法もあります。






調節計がMAMUAL時はMANUAL MVにタッチするとMV設定矢印キーウインドが開きます。矢印キーでなく10KEYで設定したいときは10KEYにタッチすると10KEYウインドが開きます。 操作はSV値設定時と同じですので画面は省略致します。

大変重要なことですが、ここで設定されたMV値は次にAUTOに変更されたときのスタート点となり、MV値の急変はありません(バランスレスバンプレス)。






PID表示部にタッチするとPID設定ウインドが開きます。
PX側ではP動作はゲインで設定されますが、ここでは一般的に使われている比例帯(%)で設定出来るようにしています。
例えば書籍でのPIDの説明などは殆ど比例帯を使っていますので、やはり比例帯の方が理解しやすいですね。









タッチパネルスタンド

お客さものDCSモニターと並んでタッチパネルを設置することになりました。
設置時のタッチパネルの見栄えが良くないと画面等の内容より見た目で陳腐な感じがしてしまいます。
そこでヘアライン仕上げのアルミケースにVESA規格のモニタスタンドを組み合わせてみました。





デスク上では他のモニターのように高さ調節、角度調節、回転も自由ですので最適な状態で監視することが出来ました。
一般的にTPは盤面に取り付ける事が多いですが、机上に置く場合にはこの様な形にするとPCのモニターと並べても違和感がありません。






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